ひらいて

ひらいて

長く仲良く付き合っているカップルに勝手に嫉妬して、横取りしようと告白したあげく、ふられて逆上して捨て台詞を吐いて出てきた。唾を吐きかけられても文句を言えないほどの、愚劣な行動の連続。他人が私を好きなあまりこんな醜態をさらしたとしたら、私は嘲笑いながらも、なんだこのうっとうしい奴はと本気で腹を立てるだろう。そして二度と関わらない。欲張るあまり、ついさっきまでたとえとの間に流れていた親密な空気さえも失ってしまった。

春琴抄の逆をしようか」

なぜたとえへの恋心が流れに流れて、美雪への接近にまで変質したのか、自分でも分からない。

さびしがりのせいだと思っていたけれど、恋をして初めて気づいた。私はいままで水を混ぜて、味が分からなくなるくらい恋を薄めて、方々にふりまいていたんだ。いま恋は煮つめ凝縮され、彼にだけ向かっている。

ささやかなつながりを、いつもいつも求めている。そんな存在が無ければ、本当に困ったとき、一体なにがつっかえ棒になって、もう一度やり直そうと奮起させてくれるのだろう?

読んでいる最中に浮かんだもの。

美しいこと (ウィングス・コミックス)

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きみよわすれないで

きみよわすれないで